半透膜

 半透膜とは、いろいろな溶質を含んだ2つの溶液に膜を介したとき、

ある溶質成分は膜を透過し、また別のある溶質は膜を透過させないよ

うな膜のことです。膜はスポンジ状のような構造になっており、その

隙間の大きさによって透過できる溶質が決まります。現在、製膜技術

の進歩で天然素材や合成素材により、溶質の大きさに応じ溶質透過性

を変えた半透膜が製造されています。これを医療分野に応用したもの

が血液浄化膜であり、この血液浄化膜により尿毒症性物質や過剰水分などを拡散・限外濾過・吸着により除去します。            


1,拡散(透析)

 拡散(透析)とは、濃度の異なる2つ溶液が半透膜を介して存在すると、溶質は濃度の高い溶液から濃度の低い溶液に溶質が移動し始める現象のことです。また、溶媒(水)が濃度の低い溶液から濃度の高い溶液に移動する現象を浸透といいます。このような物質移動の推進力は濃度差により起こる自然現象であり、溶質・溶媒は半透膜を介した2つの溶液が同じ濃度になるまで移動しつづけます。


拡散が半透膜を介して起こる物理現象を透析といい、物理的に拡散とは相違する現象ですが、一般的に拡散・透析とは同意語として扱われ説明されていることが多いようです。


2,限外濾過

 限外濾過とは、2つの溶液に半透膜を介して溶液1・溶液2と分けた場合、溶液1に陽圧または陰圧をかけると、陽圧であれば溶液1から溶液2へ、また陰圧であれば溶液2から溶液1へ、溶液が圧力の高い方から低い方に移動します。このように物質移動の推進力が圧力差により起こるものであり、その圧力差によって移動した溶液を濾液という。濾液中には半透膜を透過できる物質の大きさであれば溶媒・溶質とも移動します。 

                         透析(血液浄化法)の主な原理